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MPFクレームについて

 米国特許法112条(f)項(112条第6パラグラフ)には、機能的クレームを認めるが,機能的クレームの権利範囲は,明細書に記載された対応の構造等と,その均等物の範囲とする、とする規定があります。
 このようにクレーム範囲が制限されている理由は、機能的表現により権利範囲が広くなるので,機能的クレームを認める代わりに権利範囲を明細書の記載範囲に制限(いわば折衷案)するものです。

MPFクレーム  Williamson判決 以前

 Williamson判決(Williamson v. Citrix Online, LLC (Fed. Cir. en banc 2015) No. 2013-1130)以前(但し,2013年のガイドラインには同趣旨の扱いの記載あり。)は、 クレームに”means for ~”が含まれていなければ、原則としてMPFとしては認定されませんでした。
 このために、”means for~”の代わりに,”unit for~”,”device for~”などを用いることによりMPF認定を回避していました。

MPFクレーム Williamson判決 以後

Williamson判決(2015年)以後は、  “means”を不使用であってもMPF認定。 →MPF認定されると,権利範囲が明細書の記載範囲となる。 →では,審査時に権利範囲を決めようと思うので明細書の中身を見る。 →明細書の中には,「~手段」としての機能のしか記載がなく,構造の記載がないとすると・・・ →権利範囲を決める手がかりがなく,無効(拒絶)(112条(b)項における発明が不明瞭)(審査官マニュアル2181)
→プログラム発明が明瞭というには,アルゴリズムが開示されていなければならないが,クレームの流れをそのまま表したフローチャートではアルゴリズムの開示とはならない。
「構造は,単に汎用的な目的なコンピュータまたはマイクロプロセッサを上回るべきであり,明細書はクレームされた機能を果たすためのアルゴリズムを開示していなければならない。」
MPF適用クレームであれば,汎用目的のコンピュータは通常は,汎用的計算機能を果たすための対応構造(たとえば,「データ保存のための手段」)として十分だが,特定の機能を果たすための対応する構造は単なる汎用的な目的のコンピュータまたはマイクロコンピュータを上回ることが要求される(もっと狭いところまでの記載が要求される?)。明細書は汎用目的のプロセッサを「開示されたアルゴリズムを実行するようにプログラム化された特別な目的のコンピュータ」に変換するアルゴリズムが要求される。
フローチャートにおいて,散文体で,数式を含む理解可能な用語でまたは「十分な構造を提示する別の方法で」アルゴリズムを表現できる。(審査マニュアル2181)

MPFクレーム 対策

対策としては、次のものが考えられます。

 ①MPF認定を反論・・・構造的な記載のクレームに補正

 “means for”の代替語、”mechanism for”、 “module for”、 device for”、 ”unit for”、 machine for” などはMPF認定されます。「回路”circuit”」、「戻止め機構”detent mechanism”」、「デジタル検出器“digital detector”」などMPF認定されない例もありますが(審査マニュアル2181)、必ずしも認定されていまう恐れもあります。

 ②MPF認定を容認

 そもそも機能なのだからMPFを認定してしまう、という考えです。

 ③アルゴリズムの開示が重要

 MPF認定されないようにクレームの流れよりも詳細なアルゴリズムを開示しておくものです。但し、ソフトウェア的なものでないものもMPF認定されることがあるので、そのような場合には対処が難しいかもしれません。

 

*1 112条(f)項は次の通りです。

 ELEMENT IN CLAIM FOR A COMBINATION.—An element in a claim for a combination may be expressed as a means or step for performing a specified function without the recital of structure、 material、 or acts in support thereof、 and such claim shall be construed to cover the corresponding structure、 material、 or acts described in the specification and equivalents thereof.

 組み合わせにかかるクレームの構成要素-組み合わせにかかるクレームの構成要素は、具体的構造、材料、または行為をサポートせずに、特定の機能を実行するための手段または工程として表現でき、そのようなクレームは明細書に記載された構造、材料もしくは行為またはそれらの均等物をその範囲とする。

 112条(b)項は次の通りです。

 CONCLUSION.—The specification shall conclude with one or more claims particularly pointing out and distinctly claiming the subject matter which the inventor or a joint inventor regards as the invention.

 結論-明細書は発明者または共同発明者が発明とみなす主題を特定し、明確に請求した1または複数のクレームで結ばなければならない。

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