AIによってなされた創作物の著作者は誰かという問題です。
AIと著作権-創作者
AIに関する創作物については、知的財産推進計画2019には、次のように記載されております。『 2017 年に知的財産戦略本部に報告された「新たな情報 財検討委員会報告書」では、1) 利用者に創作的寄与等が認められれば「AI を道具と して利用した創作」と整理でき、当該 AI 生成物には著作物性が認められ、2) 利用者が(創作的寄与が認められないような)簡単な指示を入力した結果出力された生成物 は AI が自律的に生成した「AI 創作物」であると整理でき、現行の著作権法上は著作 物と認められない、と整理している 。』(知的財産推進計画2019第24頁-第25頁)このように、現行の日本の著作権法ではAIが自律的に生成した「AI創作物」については著作物とは認められません。AI創作物についてはパブリック・ドメインとなるようですが、そうするとAI創作物を創作しようとするモチベーションが下がってしまうという問題もあります。このような中、広州日報は、中国では 深センの南山区人民裁判所 においてAIによって生成された記事に、具体的な創造性がある、として著作権が認められたことを伝えております。AI技術では中国に遅れを取っている日本が、法律分野でも遅れをとってしまうのでしょうか。(弁理士 井上 正)