特許庁は、AI関連技術について令和6年3月13日付けで進歩性、記載要件及び発明該当性に関する事例をさらに10事例追加しました。内訳は進歩性について4件、実施可能要件およびサポート要件について1件、サポート要件について2件、発明該当性について2件、明確性要件について1件です。
追加事例1は人間が行っている業務の生成AIを用いた単純なシステム化であるため進歩性が否定されるもの、
追加事例2は生成AIの適用における工夫に関して、進歩性が否定される請求項と肯定される請求項の一例を示すもの、
追加事例3は入力データから出力データを推定する学習済みモデルの学習方法の相違により進歩性が認められるもの、
追加事例4は人間が行っている業務の人工知能を用いた単純なシステム化であるため進歩性が否定されるものと、そのシステム化に加えた新たな特徴により進歩性が肯定されるもの、
追加事例5は記載要件を満たす請求項と満たさない請求項を、同じ発明の詳細な説明に対して共に示すもの、
追加事例6は「教師データの作成方法」に対するサポート要件判断についてのもの、
追加事例7は発明の課題を解決できない場合が請求項に係る発明に含まれサポート要件違反となる事例についてのもの、
追加事例8は「機械学習」における「教師データ」に関する発明該当性の判断を、「教師データ自体」と「教師データ用画像生成方法」の両方について示したもの、
追加事例9は発明該当性の要件を満たす事例は存在したが、満たさない事例は存在しなかったため、発明該当性の要件を満たさない事例を追加したもの、
追加事例10は「学習済みモデル。」等の末尾を有する請求項に対して「カテゴリー不明確」によって明確性要件違反となる事例を追加したものです。
事例の追加によって審査官、出願人の両方に参考になる事例が増えました。詳細は特許庁のHPのこちらをご参照ください。(弁理士 井上 正)